『シン・ゴジラ』について

どうして『シン・ゴジラ』を絶賛できないんだろう。
それは、きっと傑作すぎるからだと思う。
傑作を絶賛する必要はなく、傑作は傑作として残る。
多くの人々に絶賛されるわけだから、絶賛する必要はない。
対して欠作はかならずしも傑作ではない。
だから、すぐに評価を得ない。
けれども、傑作以上に欠作の傑作は人の記憶に残る。
欠作の傑作は、トラウマだからだ。

つまり、やはり夏エヴァは来なかった。
綺麗に、語るべきことをすべて語り、抑えるポイントをすべて抑えて、映像もよし、音もよし、デザインもよしの超優等生映画が『シン・ゴジラ』だった。
夏の宿題は終わった。
けれども、それは、いままでの延長線上にしかなかった。