恩師のこと

すっかりお酒も弱くなり、周りからはいずれ老眼になると言われ、歳をとったと感じる今日この頃である。最近、やたら老人たちを意識する。いや、いずれ老人になるんだってことに気づいている。もし明日、老人になったら、生きていく勇気があるのだろうか。そ…

headache

この頭痛薬はきっと偽薬で効かないだろう。3錠飲んでも脳幹に雷が落ちるような激痛が走り気が狂いそうになる。茶色いプラスチック容器を壁にぶつけて、額の汗を手のひらで拭った。遠くからブーツがコンクリートを叩く音が聞こえ、更に叫び声も聞こえる。け…

三上晴子 『Worid Membrain - Disposal Containers』 : 不気味なものを保存する

ラディウム−レントゲンヴェルケで開かれた三上晴子 『Worid Membrain - Disposal Containers』で不思議な作品に出会った。実験動物の死骸、放射性廃棄物、注射針などが、原色で不透明のプラスチック製の容器たちに詰められ、更にその容器たちは、透明プラス…

『シン・ゴジラ』について

どうして『シン・ゴジラ』を絶賛できないんだろう。 それは、きっと傑作すぎるからだと思う。 傑作を絶賛する必要はなく、傑作は傑作として残る。 多くの人々に絶賛されるわけだから、絶賛する必要はない。 対して欠作はかならずしも傑作ではない。 だから、…

 中村一美 『作品の表現主義性が増していくということは、規律的にコントロールする強化された形式を要す』

このブログのなかでも、何回か中村一美の絵について語ってきました。(蛇足ですが、アーティストや作家をを紹介するときに「先生」と書くべきか、呼び捨てにすべきか迷う。。でも、なんというか、今回は気分で「中村一美」で統一します。「さん」づけしても…

中島晴矢 「ペネローペの境界」

阿佐ヶ谷TAV GALLERYにて、中島晴矢 「ペネローペの境界」を体験した。被災地の除染作業やテロリズムによって瓦解する世界の普遍性について、作家が真正面からぶつかった展示だった。入口近くにある『Walk this way』は、エアロスミス・Run-DMCの同タイトル…

『コンタクト』 砂のことば、希望のことば

久しぶりに観たけど、やっぱりすごくよかった。この映画のなかで電話、メモ、トランシーバー、テレビ、メール、いろいろなツールと言葉(英語)を使ってする他者とのコンタクトとあの浜辺でエリナーにしかわからない妄想による、あるいは現実の宇宙人(父親…

Hidari Zingao 『中村一美:社会意味論』を読む

新作2点を含む5点で構成された中村一美の個展が、中野ブロードウェイ内Hidari Zingaroで開催されている。Kaikaikiki Galleryの展示と比べると作品のサイズは小さいが、Hidari Zingaroでは、より近い距離で作品が鑑賞できる。米オルタネイティブ・バンドの…

中村一美個展

Kaikai Kiki Galleryにて中村一美個展を観た。国立新美術館の展示にはただただ圧倒された。そして、やっぱり今回の展示にも圧倒された。『庵IX』を写真でみると、黒い斜線の重なりだけの平らな絵にみえるかもしれない。けど、実物をみると、絵の具の厚みやス…

カワイイと残酷

この絵は、とあるニュースにショックを受けて描きました。小学生が自ら命を絶ったニュースで、ネットや新聞では、自殺の原因をいじめとしています。あまりにも早く旅立ってしまった彼女は、転校する前の友達に手紙を書いていました。その便箋の片隅に、カワ…

『鋤田正義展 SOUND&VISION』 備忘録

「鋤田正義展 SOUND&VISION」とてもよかった。もちろんT.REXやデビット・ボウイという被写体と真っ向勝負して負けないのは凄い。ただ、もっと感動したのは「Galax」という72人のスターのバナー作品と「東京画+」という東京の日常を撮ったシンプルな構図の…

『暇と退屈の倫理学』: 二重のジレンマ

『暇と退屈の倫理学』(國分功一郎 著)を読んだ。哲学クラスタじゃない自分は、アーレントやハイデガーの名前が出てくるだけでビビッてしまうけど、本著は安心して読めた。分かりやすく書いてあるだけではなく引き込まれるように書いてある。暇と退屈の時間…

『イケムラレイコ うつりゆくもの』: 少女・旅人 

東京国立近代美術館で「うつりゆくもの」を観てきた。日本を離れ、欧州で活躍しているイケムラレイコの回顧展。会場は全部で15セクションに分かれていた。そのなかで一番印象に残ったのは第4セクション「横たわる人物像/Lying Figures」だった。ほのかな…

『監督失格』: 被写体として生きるふたり

はじめてTOHOシネマズ六本木ヒルズで映画を観た。きれいな映画館だ。土地柄か、清楚な服装をした観客が多かった。大都市にあるのだから当然かもしれない。でも、映画は対照的に生々しく、おどろおどろしかった。上映後、外に出て感じたこのギャップが印象深…

こぐまダイアリーはじめました

はじめまして、こぐまです。 ありきたりですが、本、映画、展覧会などの感想文を書いていきたいと思います。 ボクは文章を書くのが苦手です。だからこそ、ブログを書くことにしました。 いろいろな人に出会えるといいなと思っています。感想やご意見をお待ち…